曲をつっかえずに弾けるようにはなった。
でも、何かパッとしない。
ピアノを習う誰もが悩む壁ではないでしょうか。
そんなときに使える、曲を仕上げるためのチェックポイントを7つご紹介します。
1曲にずっと向き合っていると、だんだん何が正解か分からなくなってきます。
そんなときこそ原点に立ち返ってみてください。
7つのチェックポイントを復習するだけで、演奏が魅力的に変わりますよ。
- 1.メロディーを最初から最後まで追ってみる
- 2.拍子をとりながら頭で音楽を流してみる
- 3.曲の構成を再確認する
- 4.楽譜に書いてあるものを読み直してみる
- 5.調性を確認してみる
- 6.和声をチェックしてみる
- 7.ペダルを疑ってみる
- まとめ
1.メロディーを最初から最後まで追ってみる
慣れてくるとついつい惰性で指が勝手に動いてしまうもの。
改めてメロディーを意識して、最初から最後まで追ってみましょう。
特に難しく複雑な曲になってくると、指を動かすことだけに囚われてしまいがちです。
でも音楽は横に流れるもの。いつでも歌を忘れてはいけません。
メロディーがはっきりした曲なら、メロディーだけを歌ったり弾いたりしてみる。
ポリフォニーの音楽だったら、各声部を追ってみる。
主旋律が終わったら、ベースや内声も追ってみましょう。
ピアニストが常に気を付けなければいけないのは「バランス」です。
何がメロディーで、副旋律で、ベースで、和声を担う音なのか。合奏やバンドならみんなでやることを、一人でやらなければなりません。
聴衆に伝えたいことを意識しながら弾いてみましょう。
2.拍子をとりながら頭で音楽を流してみる
メロディーの次は「拍子」です。
自分が今弾いている曲は4/4ですか? 6/8でしょうか?
拍子を意識しながら楽譜を流し読みしてみましょう。
イメトレは指のトレーニングと同じくらい大事です。
メトロノームをつけても良いですが、外部からの音があると邪魔にもなるので頭の中だけのほうがベター。
以前指揮者の方がどこかで、「メトロノームのように正確に指揮棒を振れるようになって初めて、ルバートとかを考える権利がある」と仰っていました。
一人で練習していると、ついつい自己流すぎる演奏になってしまいます。
どんなに難しい曲でも指に振り回されることのないようにしたいですね。
3.曲の構成を再確認する
メロディーと拍感をおさらいしたら、曲全体の構成を確認しましょう。
構成というと小難しく感じますが、なんとなくどう展開しているのかが分かればOKです。
ポップス風に言えば、どこがサビなのか? 前奏はコーダはあるのか? Aメロはどこからどこまで? などなど…
曲全体が分かったら、もっと細かい単位で見ていくと更に良いです。
サビの中で一番伝えたいメロディーはどこ? フレーズの中で一番盛り上がる音はどれ? と区切る単位を小さくしていきます。
中級以上になったらピアノは「指で弾くのではなく頭で弾く」意識がとても大事です。
4.楽譜に書いてあるものを読み直してみる
まだまだピアノは弾きません。楽譜に書いてあるものを全部読みましょう。
楽譜にはもちろん音符が書かれていますが、それ以外にもたくさんの記述があるんです。
特に楽語の指示は大切。記号もたくさんありますね。
楽語はすべて辞書を引き、意味を書き込みましょう。
イタリア語やドイツ語が分かる人はこのひと手間がないのでうらやましい限りです。
簡単にインターネット検索で済ませることも可能ですが、パラパラとめくれる音楽用語辞典が1冊あると便利ですよ。
5.調性を確認してみる
用語が分かったら次は「調」の確認です。
今までより少し頭を使う部分かもしれません。
曲全体の調は、楽譜の最初にある調号で分かりますね。
ベースの調から途中で転調している部分がないか、じっくり見ていきましょう。
ピアニストにとって調性感は必須スキルなのです。
わざと調性を崩壊させた無調の曲もありますが、それだってあえて基本を崩しているから面白い。基礎を知らずに適当にやっていたら、ただのでたらめです。
きちんと勉強したかったら「アナリーゼ」で調べてみてください。
独学だとなかなか難しいので、迷ったら先生に聞きましょう。
独学で学んでいる人も、ココナラ とかで質問できる相手を見つけると上達は格段に速くなりますよ。
6.和声をチェックしてみる
調性の次は「和声」です。
調性と関連して頭を使う部分でもありますね。
メロディーや拍、楽語に比べると正解が分かりにくく、苦手な人も多いかもしれません。
ですが和声を考えずにピアノを演奏するのは無理です。
一人で和音を奏でられることこそ、ピアノの大きな魅力のひとつ。
和声の重要性については、「ピアノのミスタッチを減らすたった1つのコツ」の後半でも語っています。
和声について考えるべきことは2点。
- 和音のコード(CとかGとか。楽典的に言うならⅠとかⅤとかの和音記号)
- 和音の機能(TとかDとか。コード進行のこと)
今弾いている和音のコードが分かりますか?
Cでしょうか?
F♯7でしょうか?
ひとつひとつの和音が分かったら、その進行を考えます。
コード進行を分かって弾くことは、演奏の出来栄えを左右する重要なポイントです。
7.ペダルを疑ってみる
最後のチェックポイントは「ペダル」です。
ここまで頭を使ってピアノ曲をブラッシュアップすることばかり書いてきましたが、ペダルは「耳」を使います。
- 楽譜に書かれたとおり、あるいは先生の指導どおりにペダルを踏んでいませんか?
- べたーっと踏んでしまって、音が濁っていませんか?
- もしくは踏みかえが上手くいかずに、音が切れてしまっていませんか?
よく「ペダルは耳で踏む」と言われますね。
メイクと同じで、なんでも盛れば良いというものではありません。
時には引き算することも大事です。
左のペダル(ソフトペダル)は、良く分からなかったら踏まないほうが無難です。
音色を補助的に変化させるものなので、「指だけで物足りなくなったら試してみる」くらいで十分です。
真ん中のペダル(ソステヌートペダル)は、稀に良く使うといった立ち位置のペダルです。
どうしても指が届かないけど、一音だけ長く伸ばしていたいというときに使います。日本人女性だと、手が小さい人が多いので、意外とお世話になることが多いです。
特にリストとか。
西洋人の男性だったら良かったと思う瞬間です。
まとめ
ピアノ曲を仕上げる7つのチェックポイントをご紹介しました。
- メロディーを最初から最後まで追ってみる
- 拍子をとりながら頭で音楽を流してみる
- 曲の構成を再確認する
- 楽譜に書いてあるものを読み直してみる
- 調性を確認してみる
- 和声をチェックしてみる
- ペダルを疑ってみる
いかがでしょうか。
調律も人任せ、呼吸も必要ないピアノは、ただ音を出すだけなら一番簡単な楽器です。
その分和音のバランスとか、曲の盛り上げ方とか、頭を使わないといけない部分が多いんですよね。
上手な演奏は、バランスの取れた演奏です。
ご紹介した7つのポイントをゆっくり確認してみてください。
きっと見違えるように上手になるはずです!